”10年後”の話をしよう〜Spring Paradise HiHi Jets公演によせて〜
猪狩さんが「10年後俺たち以上にみなさんを楽しませる人なんていないんですよ。10年後俺たちと答え合わせしましょう」って言ってくれた どうしよう
— たねだ (@theholy5uintet) 2022年3月19日
Spring Paradise CRUSH THE FRONTLINE 3月19日の夜公演の挨拶で猪狩蒼弥さんがくれた言葉を、わたしは言葉のとおり”抱き締めた”。
あまりにも、わたしの拗れ歪んだ面倒くさい気持ちを解くには十分な言葉だったから。
いつか今ほどの熱を手放す時がきてしまうことを恐れ永遠や一生を約束出来ない臆病なわたしも置いていかずに手を握っていてくれる彼らに、もう完全に委ねてしまいたいと思った。
「CRUSH THE FRONTLINE」と掲げられた今回のライブツアーには文脈がある。2021年11月下旬に代々木競技場第一体育館で開催された待望の初単独アリーナコンサート・五騎当千で披露された新曲、FRONTLINE。
FRONTLINE=最前線。
そこには俺たちがエンターテインメントの最前線であるという自負と、誓いと、覚悟があって。歌詞とパフォーマンスを見ればなにを言わずとも伝わってくるその意志に圧倒されることしかできなかった秋。
デビュー組のファンが大半であるだろうカウントダウンコンサートの前座でも名刺曲HiHi Jets、メンバー紹介ラップだぁ〜くねすどらごんにその名を連ねたFRONTLINEは最新にして最高の自信曲だったのはH・A・Fの総意だと思うんです。
そんな曲名が入った今回のライブ、1曲目に披露されたFRONTLINE。「俺たちこそFRONTLINE」という歌詞が入った曲を幕開けに持ってきたのは宣誓で。見逃すなよというアラームでもあって。だから、この曲とライブタイトルにあるFRONTLINEは持つ意味合いが異なってくるのではないでしょうか。
話が前後するけれど、「CRUSH THE FRONTLINE」というタイトルの意味について、オーラスの挨拶で猪狩さんはこう言っていました。
今あるもの、ジャニーズの王道、最先端を打ち砕く。
それがジャニーズなんではないか、と。
今回のライブの山場のひとつであるジャニーズ20曲メドレーは、少年隊からなにわ男子まであらゆるデビュー組のヒット曲を披露しています。初見時にはあまりにも情報過多すぎて目が回ってしまったほどにジャニーズの歴史と魅力がギュギュギュと詰まった怒涛のメドレー。
このメドレーの構成の大枠を考えたのは猪狩さん。4月26日の伝記で彼はこのメドレーを組んだ意味を語っています。要約するとこんな感じ↓(ほとんどの人が月額払ってると思うので是非彼の文章を直接読んでください!!!って書いてたんですけど余裕で6月になってました遅筆ですみません…。)
これまで先輩の楽曲をカバーする上で知名度の高い曲だけでなくあえてマイナーな曲を選んでいたのは、いつか自分たちの楽曲を出す時にHiHi Jetsの財産として手に取ってもらうためのパワーを養うためだと。
一方今回のメドレーは自分たちがジャニーズであることをアピールするために作った。つまり証明するという目的の手段としてそれを選んだと。
そしてメドレーの後に放たれるのが新曲・JETなのである。
”ジャニーズの伝統を表現した後に、「俺たちはこう!」っていうのを見せたかった”
あまりにもズルくないですか???
HiHi Jetsは昔からセトリを組むのが上手い、曲の繋ぎが上手いと言われているけれど、こんなにも鳥肌が立った流れは初めてだった。だって曲も歌詞もコンセプトも最高なのはもちろんなんだけど、JETやられたら全員”見ちゃう”に決まってんじゃん。
わたしはこの、あくまでも自分たちを表現するための「手段」として伝統の20曲メドレーを持ってきたことにとても意味があると思っていて(というか本人が直々に解説してくれた通りなんですけど)。
HiHi Jetsってわたしがここ数年、わずかではありますが一心に応援してきた中で王道ではないとか、ジャニーズっぽくないことをするとか、そんなイメージがグループのカラーとして言われることがままあって。確かにやんちゃな面は多いし、常にキラキラというよりは等身大のリアルさや粗さからくる共感性の高さがひとつ持ち味のグループだとは思うんですが。
本人たちが言っているように、アイドルとしては王道ではないかもしれないがジャニーズとしては王道である、というその在り方を証明するためのメドレーの後にグループ名にも由来するJohnny's Entertainment Teamの意を持つJETを持ってくるその強い意志!
”今あるもの、ジャニーズの王道、最先端を打ち砕く”、それをライブの一番の山場で実演するその方法があまりにもハイコンテクスト過ぎて若干の畏怖すら抱く。怖いでしょこんなの。もう誰も逃げられないよ。
わたし個人の話になるんですけど、猪狩さんに堕ちたときのトドメがサマステ'19のFenceなんですよ。2019年の夏って、Fenceの歌詞にある通り「俺は俺」って言ってるイメージが強かった。それこそが彼の持ち味だし、自分がブレない強さ、一貫性が今ではグループの軸としても機能しているのは明らかですよね。
スリーピーススーツを身に纏いサングラスを掛け拡声器を片手に世の中を風刺するような前衛的な高速ラップを六本木の地下で自作披露する16歳、額面だけで受け取るとまあ邪道ですよ。わたしもその”っぽくない”部分に惹かれたところは正直あります。
実際、わたしの体感なんですけど当時HiHi Jetsのイメージってやっぱりキラキラ王子様ってよりかはヤンチャなDKって感じがあったし、伝説になるってでっかい夢掲げてチャリで来たりしてワイワイやってるのが彼らの大きな魅力、パッケージ、みたいな。
それは全くもって悪いことではないし、キラキラ王子様のようにジャニーズアイドルといえば!な印象との優劣はないんですが。
”HiHi Jetsらしさ”と”ジャニーズらしさ”が相反するものであるような位置づけになってた、って言うのかな。すごく説明が難しいんですけど、従来の王道定義だとHiHi Jetsはどちらかといえば邪道寄りのポジションだったと思うんです。
それから、これは完全にわたしの拡大解釈でしかないんですが、2020年に放送されたROTの中で2019年12月のインタビューで「(橋本と作間の)2人が戻ってこないって言うんだったら、俺もついていくよって話はしました」と話していた猪狩さんが居て。
この発言をわたしは彼はHiHi Jetsという箱、居場所、メンバーにこだわりがあるのであって、事務所という環境自体にはさほど執着心がないんだと解釈しました。グループ愛の強い人だなと感じました。その分ぶっちゃけ事務所に情があるかと言われたらそうでもないんかな、みたいな気持ちも少なからずありました。それが良い悪いって話ではないですが。
そんな感じだったので、今回のスプパラ及びJETのコンセプトには正直やられました。もう右ストレート、一発KOですよ。だって好きなアイドルが歴史と伝統のあるジャニーズに骨埋める覚悟できてます、背負う覚悟あります‼️って宣言したんですよ。
わたしはジャニーズに全く興味ない状態から様々を経由してHiHi Jetsがほぼ最初のガチ担当グループっていうちょっと珍しい(デビュー組から降りたわけではないという点で)オタクなので、あまり語れるほどのジャニーズ教養がないのが残念ですが…。
ジャニーズとしてのプライドを誇示する姿は今回が初めてというわけではなくて、わたし的にアツかったのはやっぱりサマパラ'20の配信ライブで披露したずきうやのENTERTAINERですね。(この話多分死ぬまで擦るんだろうな……)
「SNSじゃ誰もが有名人 じゃ上がってみるか俺らのSTAGE」
のフレーズが好きです、本当に。あまりにもジャニーズへの誇りとプライドがあって、自分だけじゃなく数々の先輩方が長年の月日で積み重ねてきたもの全部を背負ってステージに立つことへの覚悟もあって、みたいな。
その点で言えば、今回のスプパラで披露された新しいソロ曲「SparKing Gang」でも、似たような意思を感じるフレーズがあって。
「俺は栄光の遺伝子の継承者 生粋の正統派 伝統と歴史を
よく見りゃ誰でも気づくさ ルーツを辿れば俺らが王道だ」
ゴリッゴリにヒップホッパーな衣装に身を包んだアイドルが、このラップを、でっかいステージのど真ん中で披露することの意義を考えてしまう。
言ってしまえば、カウンターなわけじゃないですか。今でこそ櫻井くんや樹がジャニーズのラッパーと言えばで名前が上がると思いますけど、グループにラップ担当は居てもラッパーが必ずいるわけじゃないので、ジャニーズアイドルでありながらラッパーとしての自分を持つそれ自体は王道ではなく邪道のカテゴリなわけで。
その在り方を選んで「生粋の正統派」「俺らが王道だ」と叫ぶのは、矛盾というよりは既成概念を打ち壊すためのカウンターだな、と思います。
ジャニーズと言えばキラキラ、王子様が王道。それ以外は”らしくない”という個性。そんなイメージがまだ強い中で、自分のスタイルと言葉でジャニーズとしてのプライドを高らかに誇るその姿はまさに時代を作り上げていく人間そのものだな、と思いました。
ここで少しJETの歌詞について話したいんですけど、FRONTLINEが外野に向けて挑発するような内容なのに対してJETは俺らめちゃくちゃ盛り上がってるけどどうー!?!一緒に盛り上がろーぜー!!!!楽しいよー!!?みたいなノリがありませんか???(説明が雑)
曲調や雰囲気の違いからも分かるんですけどJETは楽しむ重視の楽曲というか。スプパラでも公演を重ねるごとにJETのボルテージが増して行ってたし。主に客席が。(心当たりあるペンラぶん回しオタクの皆〜〜〜!!!) それに応えるようにメンバーたちもどんどん暴れ狂って楽しんでたの、マジで嬉しかったし楽しかったよなあ。本当に「君と俺のSTAGE」ですよね。
JETの中でもやっぱりラップ詞は猪狩さんが書いているからこそのHiHi Jetsらしさが詰まっている印象があります。
”「should」や「have to」じゃなく「I want to」で動くから期待はなくても十分」”
”波には乗るさ俺の乗り方で”
あたりがまさにって感じ。”前代未聞に駆け抜けろWe're New Age”の部分も彼らの貪欲さとか怖いものなしな勢いの部分が出ていて、でもそれがおふざけで言ってるんじゃなく本気でそうなろうとしてるんだなっていうのがこれまでの活動から説得力が増していてすごいなーって思います。
この説得力があるからこそJohnny's Entertainment Teamっていう言ってしまえば事務所の全てがそこにあるタイトルがあてはまるし、ジャニーズの伝統と歴史を振り返ったメドレーの直後に「これが俺たちの在り方だ」って胸を張って提示できるんじゃないかな。
最初の話に戻ると、1曲目としてのFRONTLINEは自分たちが最前線を走っているという自信でもあり野望でもある。そしてライブのタイトルにあるFRONTLINEはこれまで歴史を創り上げてきた偉大なる先輩方のその軌跡で、今回のスプパラではそれを打ち砕き自分たちのモノにして、”ジャニーズのHiHi Jets”を確固たるものにするっていうことだったんじゃないかなと。その最新の答えがメドレー後に披露されたJETであり、原点はHiHi Jets(曲)であり、アンコールラスト曲のZENSHINでまた未来へと突き進んでいく…。ライブ本編からアンコールまでを見ても伝えたいことが明確に伝わってくる、考え抜いて作ったんだなっていうのが分かる最高のセトリだったなあ。
本筋とは関係ないんですけどHiHi Jetsって5人で同じ方向を向いて進むのがすごく上手だなって常々思います。このセトリに込められた気持ちが決して誰か1人のものではなくメンバー全員の共通認識であって、それがグループという一つの船の進行方向として的確に機能しているのってめちゃくちゃすごくないですか???グループって組んだだけで一致団結できるわけじゃないから。HiHi Jetsとしての自我がはっきりとあるなあって、そこが好きなところの一つですね。
さて、このブログの冒頭に書いた猪狩さんの挨拶についての話をします。挨拶の内容忘れちゃったよーって人はTwitterでレポ探せば出てくると思うのでせっかくなら挨拶の全文を読んでみてください!(ちなみにわたしは挨拶の詳細レポはしてない他力本願)
正直な話、これを客席で聞いたその瞬間は「うわ〜〜〜〜どうしよ〜〜〜〜………………」って頭を抱えました。
この過去記事
を読んでくださった方がいたら分かるかもですが、わたし個人としては未来を約束しないスタイルでオタクをしておりまして。2年周期で興味のメイン対象が変わってしまうので、彼らを今までのように熱心に応援できなくなってしまうことが怖くて、「一生」とか「永遠」とか、(ネタツイとかは別にして)使えなくて。わたしはそれを裏切りだと感じてしまう性格だからっていうことなんですけど。
なので、「10年後俺たちと答え合わせしましょう」って言葉に即答したい気持ちはあっても、もしそのいつか、自分が彼らのファンをやめていたとしたら?とその時の自分の気持ちを想像してしまって、だからツイートで「どうしよう」って書いちゃったんですよね。
でもその後すごく色々考えて、その10年後にたとえ今と同じ熱量のファンでいられなくても、生活を送る中で自然に活躍が目に入ってくるような、そんな存在になっているんだろうなって。「答え合わせ」って、10年後にやっているであろうライブに足を運ぶこともそうだけど、彼らの活躍を生活の中で感じること、それ自体が「答え」になるんじゃないかなって思って。
生きてさえいればどこにいても彼らと答え合わせができる、裏切ることはないんだなって考えたら、すごく楽になりました。興味の期限の呪縛から解き放たれたみたいな。
わたしはこれからも今この瞬間の彼らを自分勝手にできる限り応援していくし、将来それをしなくなったとしても彼らに後ろめたさを感じることはないかなと初めて思えました。すごく嬉しかった。それは、自分たちをあくまでもエンタメの提供者として確立させ、良い意味でわたしたちファンと一線を引いている彼らが示してくれた”HiHi Jetsを利用して人生を楽しむ”というHAFの在り方のおかげです。
長々と色々書いてしまったんですけど、わたしは今回のスプパラを観てHiHi Jetsの創るエンターテインメントが好きだなーーーーーって改めて思いました。よく言われてますがHiHi Jetsのライブって本当に1秒も飽きる隙がないんですよ。それはやっぱりメンバー本人たちが拘ってセトリから構成まで作って、そのほかもたくさん自分たちの考えで創り上げているからこそで。
そして何よりジャニーさんが愛したエンターテインメントへの思いを継承していく、自分たちが未来を創っていくんだっていう覚悟を感じてハアアアア………となってしまいました。HiHi Jetsの未来、眩しすぎるだろ。普段あんまりこういうこと言わないけど一刻も早くデビューしてほしい。でもどのタイミングでデビューしてもHiHi Jetsは今のまま彼ららしいアイドル人生にするんだろうなっていう安心感がある。でもやっぱHiHi Jetsのエンタメを知らない人がいるのあまりにも時代の損失すぎるから明日にでもデビューしてほしい。早くライブ行きたいな〜。………ライブ…………………?